第1章 認知症とはどのような病気か?

◎認知症の中核症状とは?

中核症状は、記憶障害を主とする脳の認知機能障害による症状で、誰にでも出る可能性のある症状です(図1)。

[図1]認知症の中核症状と周辺症状
認知症の中核症状と周辺症状(行動・心理症状)。行動・心理症状は医療の現場ではBPSD(ビーピーエスディー)と呼ばれている

中核症状は、記憶障害、見当識障害、理解・判断力の障害、実行機能障害などの記憶・認知障害のことです。

見当識(時間、場所、人物に対する認識)とは、現在の年月日や時刻、自分がどこにいるかなど、基本的な状況を把握することです。見当識障害は記憶障害と並んで早くから現れます。

記憶は、大別すると記憶対象となる事象の発生からの経過時間によって3つに分類されます。すなわち、発生から1分までのことを覚えている「即時記憶」、数分~数カ月前までのことを覚えている「近時記憶」、昔のことを覚えている「遠隔記憶」の3つです。

アルツハイマー型認知症では、まず「近時記憶」が失われやすくなり、最近の記憶や出来事、自分の行動を忘れるのです。