俳句・短歌 歌集 四季 2020.10.28 歌集「忘らえなくに」より三首 歌集 忘らえなくに 【第13回】 松下 正樹 四季がある日本は移ろいやすいのだろうか。 行き交う人々の心や街の景色は千変万化で、過去はさらに記憶の彼方へ押しやられてしまっているかのよう。 だが、南の島々には、あの戦争を経ても変わらぬ日本の心が残されていた。 過去と現在、時間の結び目を探しながら、日本古来の清き明き心を見つける旅の歌短歌集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 青芒・大葉子・どくだみわが庭に 猛くしげりて匂ふ六月 移り気の多き人の世に咲き出でて 白百合きよくにほひたちくる 梅雨あけて日照りはあつしみづみづと 若き葡萄の房は垂れたり
エッセイ 『59才 失くした物と得た物』 【新連載】 有村 月 結婚してから35年、「愛」はなくとも「情」は生まれる ダンナが死んだ―まさかの現実。自覚はなかったが、この時から私の「おひとりさま」は始まろうとしていたようだ。たしかにダンナは肝臓の数値が悪いと1ヵ月半入院したものの退院、体力も少しずつ戻りはじめ還暦祝の1泊旅行もし、そのたった1週間後にはこの世からいなくなるなんて、頭の中のすみっこにさえなかった事。よくいう野球の九回裏2アウトからの逆転満塁ホームラン的な。その1年半前、最愛の母が「くも膜下出血」で…
小説 『しまなみ海道に消えたミス』 【第5回】 風向 良雄 恋人はいるのに、突如現われた男性へのときめきが止まらない。何かありそうな予感が… テーブルの上には愛媛県の広域観光用のパンフレットがたくさん並んでいる。広域観光企画協議会が結成され観光客誘致のために作成されたもので県内各自治体の自慢を掲載している。その男性は愛媛県の各地のパンフレットを手に取り見ていた。この男性も愛媛に行ってみたいという気持ちになるだろうか。間近に見るその男……おおきい、確かにおおきい。わたしも女としてはおおきいほうであるが、この男はむちゃくちゃおおきくて圧倒…