それまでの「軽度知的障害」という言葉では障害の程度が軽度であるかのようにとらえられがちで、支援の程度も含めて、障害の程度を考えるようになったため、軽度という言葉は誤解されやすかったからです。知的機能は低くはなくても、対人関係で重篤な困難を抱えていることがあれば、必ずしも障害が軽度ではないと考えられます。

それまでの教育現場ではいろいろな呼び方がされていました。平成15(2003)年、私は全日本特別支援教育研究会岩手大会の研究部運営委員長をしていました。大会を開催するときに、分科会の名称を決めづらかったのです。

その後、LD、ADHD、高機能自閉症、アスペルガー障害、軽度発達障害などを総称して「発達障害」という呼び名に統一されていきました。これにより教育現場の混乱は収まったと思います。

当時は、高機能自閉症とアスペルガー障害、広汎性発達障害の自閉性障害という言い方がありましたが、DSM‐5によって、自閉症は「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」(ASD)に統一されました。

さらに、ASDの症状に「感覚障害」が加えられました。それまでも感覚障害が発達障害の主症状に影響しているように思われましたが、明確に診断基準に入っていませんでした。感覚障害が入ったことで、発達障害の行動特徴である「耳を塞ぐ」「触られると嫌がる」「靴下を履きたがらない」「一丁食い」「偏食」「パニック」などの感覚とかかわっていると思われる行動問題への理解が進みました。