アルツハイマー型認知症の最初の変化をアミロイドβ蛋白蓄積(後にタウ蛋白も加わる)とする説を「アミロイド仮説」といいます。(ただし、PET検査などから幾つかの疑問が指摘されています)。

特に側頭葉の深部にある大脳辺縁系の「海馬(hippocampus:ヒポカンプス)」が神経細胞脱落により萎縮すると、記憶の障害が著しくなります。

海馬は小指の大きさで、タツノオトシゴの形に似ているとされています。また、雄羊の角にも似ていることから別名として「アンモン角(Ammonʼshorn)」とも呼ばれます(エジプト神アンモンは羊の角を持っています)。

その症状は老化? それとも認知症?

認知症の症状は、「中核症状」と「周辺症状」とに大別されます。周辺症状は「行動・心理症状(問題行動・精神症状)」(BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)と呼ばれます。この2つの症状に加えて、身体的症状が加わっていき、寝たきりになる人も少なくありません。

「中核症状」には脳の神経細胞が壊れることによる脳障害そのものである記憶障害、失語、失行、失認、実行機能障害が含まれます。

「周辺症状」(行動・心理症状)には本人の性格、環境、人間関係がからみ合って起こる精神症状、性格変化、幻覚・妄想、夜間せん妄、徘徊、食行動異常、排泄行動異常などが含まれます。

※本記事は、2018年5月刊行の書籍『改訂版 認知症に負けないために知っておきたい、予防と治療法』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。