3章 世界のパラダイム

鎖国状態は、一見、平和で安定した時代であるように見えますが、必ずしもそのようになりません。基本的に世界から孤立することになります。自国ファーストの経済水準よりはるかに低くなることになります。彼らを支える価値観は自給自足、スローファーストであり、世界のどこにも迷惑をかけず、静かに暮らしていくことになります。

しかし、経済水準の低さから、自国のインフラ、医療、教育などを構築、維持する資金が捻出できないことで大きな課題を抱えることになります。自給自足は現金収入がなく、医療サービス、高度な教育サービスが実現できず、また飢餓を迎えたとき打つ手がありません。

人類は飢餓と貧困と闘ってきたことを忘れてはなりません。スローライフでは保証されないのです。過去を振り返ればよく理解できます。

江戸時代から幕末の原動力となった地域は世界に対して開放系の地域でした。当時は、長崎出島、対馬、薩摩、蝦夷の4か所しか門戸を開いていませんでした。江戸時代は平和で穏やかな時代が続きましたが、新田開発による農業技術の進歩による経済水準の向上を除いて、停滞した時代でした。

そうした貧困な日本が明治維新をなし遂げられたのは、海外と密貿易を行い、富を蓄えた薩長でした。もし彼らが海外に向け開放的な活動をして資金を潤沢に持つことがなかったとしたら、明治維新は起こらなかったかもしれません。第2象限はそうした意味において、経済的な発展のない、活力を失った社会に戻ることになります。

さて、第1象限です。第1象限は、いままでのグローバル資本主義の反省の上に、大量生産、大量消費、大量廃棄を見直すことになります。大量生産をするために地球資源を食いつぶすことを止め、これまで使用してきた製品をリサイクルすることや省資源技術を高度化して、地球に負荷をかけない生産活動に変えていくことになります。

これまで大企業はこうした方向に舵を切り直しましたが、これからは企業の大小を問わず、地球環境に配慮した活動を行うことになります。消費者サイドでは、所有欲を抑え、シェアリングし、リサイクル社会を実現していくことになります。人類が助け合って、地球を傷めない生産活動に移行していきます。

また現在、経済活動に不可欠な移動によって途方もないCO2が排出されています。後述しますが、これがオンライン革命で、少ない移動で経済活動を行うことが可能となり、CO2排出を抑えることができます。こうすることで、SDGsとグローバルな活動を両立させ、地球にやさしくかつ高度な生活水準を維持することが可能となります。

この第1象限の価値観は、そもそも地球は宇宙の一部であり、地球の上で暮らすすべての生命体は大きな宇宙の摂理に従って生きており、人間の経済活動もその自然の摂理に従って、調和のとれた活動をしなければならないという考え方です。

ただ、世界がこのモデルに移行する際に、一つの問題が出てきます。先進国と発展途上国の問題です。先進国は大量生産を見直すことでしょう。しかし、発展途上国は、物的消費意欲が盛んであり、従来の大量生産志向が止まりません。

特に中国がそのモデルを発展途上国に持ち込みます。この矛盾は、先進国の高度な省資源技術を移転することで、乗り越えなければなりません。

過去、コストが安いというだけで、大量廃棄を前提に生産してきた節度のない大量生産モデルに走らないように、SDGsに配慮した生産活動を発展途上国に啓蒙実践していくことだと思います。そのためには、日本の役割は極めて大きいといえます。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『ワークスタイル・ルネッサンスがはじまる』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。