医療での定義

みちのく療育園(医療型障害児入所施設)の施設長で医師の伊東宗行(いとうむねゆき)氏によれば、基本的に医学では昭和46(1971)年に愛知県心身障害者コロニー(現・医療療育総合センター)が設立されたときに発達障害を「遺伝的、周産期、その後の環境の影響などによって脳障害を受けた精神遅滞や脳性麻痺(まひ)等の心身障害」と規定されたといいます。医療の立場であると、発達に何らかの障害をもたらす病気は、すべて発達障害と考えるのかもしれません。

さらに、精神疾患を診断するマニュアルというものがあります。WHOが作成しているICD-10(国際疾病分類)とアメリカ精神医学会(APA)が作成しているDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル-5版)が主です。

10と5の数字は改訂された数を表します。これらの診断基準に基づいて医師の診察のもと、自閉症スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)、限局性学習症(SLD)などの診断名がつきます。

子どもの場合、発達障害の診断があり、それをもとにして福祉の行政機関である児童相談所から「療育手帳」を発行されることになります。この「療育手帳」が取得されることによって、日本では障害福祉サービスを受けることができるようになります。

※本記事は、2019年6月刊行の書籍『もしかして発達障害? 「気になる子ども」との向き合い方』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。