タイプとして記載することは可能ですが、そのタイプがそのまま一人の人間なのではありません。その特徴が生活していく中で支障になっているので、理解しやすくアプローチしやすいように障害として分類されています。精神科医療における診断と分類です。

そして現在では、神経の発達としての発達障害も、ほかの身体や知的能力の発達のように、重い発達の障害から、発達の凸凹、得手不得手を経由し、一般的な状態まで、グラデーションのようになっているのではないかと考えられています。

得手不得手という点ではだれでも発達障害的です。病気や障害としての事実はありますが、その傾向ということもあります。決定論的には考えられない、複雑な流動的な現実も含んできます。

発達障害の理解が進み、このようにタイプが示されてくると、自分は大丈夫だろうかという不安がよぎり、「発達障害かもしれない症候群」などと言われてしまう始末です。ネットを開けば発達障害だけではなく過敏性性格やさまざまなチェックシートがあり、試してみることができます。

困ったことに、気にしている人が使うと結構該当したりします。「ネットのチェックシートをしてみたのですが、私、この障害ではないでしょうか」と相談の中で言う人も珍しくありません。

チェックシートも診療や相談の導入として有効な時もありますが、気にしている人が一人でやって不安を増長するのはよいとは思えません。自分のことを誰かにこうだと言ってほしい、決定してほしいというのは、占いとほぼ同じです。

具体的に何に悩んでいるのか、何に不安を感じているのかが重要で、自分の問題として、身近な信頼できる人に相談する、精神的不調がありつらいのであれば精神科を受診するなどしていただきたいと願います。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『“発達障害かもしれない人”とともに働くこと』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。