④見えない環境汚染物質の増加?

一時期、環境ホルモンが人体に及ぼす影響が騒がれました。生物へ悪影響を及ぼす目に見えない攪乱(かくらん)物質の存在が指摘されたのです。

化学物質による生物のメス化も指摘されました。さらに海水のなかの有機水銀、飲酒によるアルコールの摂取、タバコによるニコチンなどによる脳の神経細胞への影響も疑われました。

また、エピジェネティックということもいわれています。「エピ」とは「周辺」という意味で、「ジェネティック」とは「遺伝子」という意味です。遺伝子は固定されているものではなく、環境の影響によって遺伝子が変化を起こすということもわかってきました。

さらにアレルギーをもつ子どもたちが増えています。原因ははっきりしませんが、なるべく子どもの体に悪影響を与えない環境づくりが大切なのです。

しかし、発達障害の原因は何が決定的な要因なのかは不明です。遺伝子と環境の両方が影響していると考えられています。

今日の保育・教育者の子どもを見る目が厳しい?

保育・教育現場からすると、特別なニーズのある子ども(配慮が必要な子ども)がいることは事実です。本来はすべての子どもに教育的ニーズはあります。

特別と普通を区別することは難しいことです。保育者の支援力が向上すると、それまで特別だったことが普通の領域に入ってきます。

保育園等では、具体的な支援の仕方を模索しているのが実情です。教育現場では発達障害に関する研修会も増えてきました。

さらに、雑誌やテレビなどのマスコミや研修会でも取り上げられることが多くなりました。そのために、ちょっと目立つ行動特徴をもつ子どもについても障害と関連づけてみてしまう傾向がでてきました。発達上の一過性の行動の問題も多いと思いますので、チームで情報を共有し、冷静な目でかかわっていくことが大切です。

発達障害が増えているかの問題については、明確に断定することはできません。ただ、支援を必要とする子どもが増えていることは、文部科学省の調査でも明らかです。

そして「発達障害」という見方に必要なのは、必ずしも教育的な側面からのとらえ方だけではありません。法律や医療分野における定義についても知っておく必要があります。

※本記事は、2019年6月刊行の書籍『もしかして発達障害? 「気になる子ども」との向き合い方』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。