そして第3象限は、大量生産、大量消費、大量廃棄を続けることになりますので、地球温暖化に歯止めがかかることがありません。さらに自国と他国の利害の対立は増加するに違いありません。

[図1]二酸化炭素排出量

第2象限は、鎖国です。識者や私の知人にも世界のカオスから逃れるためには鎖国がよいと考える人が少なからずいます。幕末、ロシア人ヴァシリ・ミハイロヴィチ・ゴローニンが日本に開国を要求して、江戸の役人と交渉を持ったときのやりとりです。

「われわれは他の国の発明や発見を利用し、お互いに生産物を取り引きしている。これによって産業は促進され、ヨーロッパ人は豊かで快適な生活を楽しんでいる」。

ゴローニンは、日本も開国して、豊かな生活を享受してはどうかと説得します。しかし、役人は、豊かになるはずの貿易が原因で、ヨーロッパでは戦争が絶えないではないかと反論し、ゴローニンにこう伝えます。

「さっきから国際交流のもたらす利益をいろいろと説明していただいたが、日本としてはヨーロッパと交際するより、国民の不幸を少なくするためには古来の立場を守った方がよい、というのがわれわれの意見です」(出典:佐藤貴彦「日本人はこんなに素晴らしかった」PARADE BOOKS)。

時は、幕末です。150年近く前の日本人が、自由貿易の本質を見抜いていたと感心します。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『ワークスタイル・ルネッサンスがはじまる』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。