この年の年末には、テレビドラマ『下町ロケット』が放映されました。私は苦しいときも穏やかなときも病室のベッドでこのドラマを見ていました。

池井戸潤の小説『下町ロケット』(直木賞受賞)が原作で、ロケット打ち上げの「夢」を追いかける主人公が、一度挫折(ロケットの打ち上げ失敗)を経験し実家の下町の工場をついで社長となり、もう一度「夢」を追いかけて社員と一緒になって奮闘するという物語でした。

このドラマを見て、私が学んだことは「夢」を追いかける「情熱」が一番大事だということです。その「情熱」さえあれば、「技術」(スキルや方法)は努力で身についていきます。

努力といっても、並大抵の努力ではないかもしれません。場合によっては、不眠不休の作業が伴うかもしれません。でも、その努力を支えるのが「情熱」だと思います。何としても「夢」を実現させるという「情熱」が、努力の源となります。

「どんな難問にも、必ず答えはある」とドラマでは言っています。

では、「情熱」はどこから生まれてくるのでしょうか。「情熱の種」は、そこら中にあります。「がんに効く薬を開発したい」、「高校野球で甲子園に行きたい」、「自分で設計した飛行機を飛ばしたい」、「ダンスが上手くなりたい」、「三星レストランのシェフになりたい」、「会社で出世したい」、などいろいろな夢が情熱の種になります。

これらのなかから、自分の本当にやりたいことを見つけて、それを「情熱」、自分の全精力を注ぎ込めるものに育てていくことが必要です。この「情熱」を見つけることは「課題発見能力」と言ってもいいでしょう。

ただし、たとえ「情熱」をかけて挑戦しても、いろいろな条件のなかでその課題を達成できない場合があります。このドラマでは、それを「挫折」と言っています。しかし、「挫折を経験した者は、さらに強くなる」とも言っています。

次は、前の失敗を繰り返さないように工夫するでしょう。「挫折」を乗り越えて、新しい「夢」や「情熱」を探せばよいということです。

ここで、私自身を振り返ってみましょう。

私は白血病の治療中でしたが、早ければあと約半年後に「職場復帰」が可能となる予定でした。

そのときに、どんな「夢」に対して「情熱」を燃やすことができるでしょうか。その「夢」を見つけることが、これから数ヵ月の課題になりました。

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『ボクは、笑顔でできている ~多くの人に支えられて、白血病と闘うことができました~』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。