岩棚の巣に海猫は春潮の
とどろき聞きてたまご孵せり
六月の三陸海岸うみ霧を
白くまとひて出づる日輪
湧水の激ち流るる水の音
龍泉洞のおくにとよもす
*とよもす 鳴り響かせる。
※本記事は、2019年9月刊行の書籍『歌集 秋津島逍遥』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。
歌集 秋津島逍遥【第35回】
“忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す”
――日本の面白さに旅装を解く暇もない
最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。
尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。
岩棚の巣に海猫は春潮の
とどろき聞きてたまご孵せり
六月の三陸海岸うみ霧を
白くまとひて出づる日輪
湧水の激ち流るる水の音
龍泉洞のおくにとよもす
*とよもす 鳴り響かせる。