「GAFAの合計売上高は70兆円を超す。世界3位の経済大国・日本の税収(約60兆円)を上回る規模だ。国境を越えて縦横無尽に事業を広げるIT巨人は国家にとって異形の存在だ」。(出典:「膨張GAFA国家が逆襲(分断の先に)」日経ヴェリタスセレクト 2019年3月10日)。

GAFAの時価総額が、日本やドイツ経済のGDPを上回り、しかも「グローバル企業の税逃れが56兆円」というのは、誰が考えても理解することはできません。また、「国際NGO『オックスファム・インターナショナル』は21日、2018年に世界で最も裕福な26人の資産の合計が、経済的に恵まれない世界人口の下位半分(約38億人)の資産合計とほぼ同じだとする報告書を発表した」。(出典:「資産、上位26人=下位38億人 国際NGO『富裕層へ課税強化を』 ダボス会議で呼びかけへ」朝日新聞 2019年1月23日)

これにいたっては、もう現代の経済モデルが重症化しているといってもよいでしょう。明らかにグローバル資本主義は行き詰まったと考えてよいと思います。

図1でいえば、現在私たちは第4象限のパラダイムで暮らしているといえます。つまり、世界を巻き込んだ開放系で、かつ大量生産、大量消費、大量廃棄のモデルの中にいます。

また、生み出された富をほんの一握りの人々が享受していることになります。地球上の誰が考えても合理性のない姿です。変えるとすれば、どのようなパラダイムがあるのでしょうか。

いま、最もあり得る姿が、第3象限です。第3象限とは、自国にとって不利な展開となるグローバル経済を、自分の国に引き戻そうという考え方です。

開かれた世界から壁を築き、自国の壁の中に閉じこもろうとします。ただし、大量生産、大量消費、大量廃棄のモデルはそのままにしておくというスタイルです。

これは政治指導者にとって、都合のよい考えで、選挙にとって有利なメッセージとなります。これがポピュリズムです。

米中はいま激しく対立していますが、どんな理屈をたてても米中どちらもパラダイムは第3象限です。これにフランス、イギリスが続いています。