そしてそのセグメントの中からターゲットを選びます(ターゲティング(T:targeting))。そもそもターゲティングがなぜ必要なのでしょうか? それは、80%の売上を全体のわずか20%から得ているとの法則があるからです(80対20の法則あるいはパレートの法則)。

例えば、ビールの88%の売上を17%の家庭が購入し、清涼飲料水では90%の売上を39%の家庭が購入しているといったデータがあります。すなわち、2割の顧客が80%の売上に貢献し、残りはほとんど買わないということからターゲティングの重要性が分かります。

ポジショニング(P:positioning)とはコトラーによると、ターゲットとする市場において、差別化などによる優位性を確立するために、想定する顧客から見た自社(自院)のサービスの位置づけを明確化することを言います。

ポジショニングでは、まず、ポジショニング軸を選定し、次にその軸に従ってマーケティング・ミックスとの連動を図るというプロセスをとります。よく利用されるポジショニング軸としては、例えば「製品特性や仕様」「消費者のメリット」「価格と品質の相関」などが挙げられます。

いずれにおいても、顧客が明確にイメージできるようなポジショニング戦略が必要です。
具体的な例を挙げますと、私が肝臓専門医の先輩として尊敬しています姫路で開業されている「すがの内科クリニック」の場合、院長の菅野雅彦医師は肝臓専門医で学術活動も積極的に行われ、患者中心の医療を展開されています。

したがって、「肝臓専門性」「医療機器の充実」(図2)といった2つのポジショニング軸を設定しました。皆様の組織はどのようなポジショニング軸を設定されますでしょうか? 顧客にとっての価値の視点と、他との差別化といった2つの視点から設定してみてください。

[図2]医療サービスの7P
※本記事は、2017年12月刊行の書籍『MBA的医療経営』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。