その中で、次のように述べたものがあります。『本当に現場力として評価すべき場所は、活動の場所ではなく、活動をバックアップする指導者やその組織そのものなのかもしれない』と。これは迫俊亮氏が著書「リーダーの現場力」に書かれた言葉です。

さらに『現場力は現場の力ではあるが、現場力を付けるためには、現場に対する教育を行うのではなく、組織の仕組みから変えていくところから開始しなければいけない』とも書かれています。

私も全くこの意見に同感です。

ここまで“ダメージを防ぐカベ”としていくつかの対策を考えてきました。何れの対策も行おうとすることは、まさしく現場力の向上です。しかしながら、“行うべき対策は何か”を検討し、決めた対策を実行できるのは、実際にそこで働く人達ではありません。

実行できるのは紛れもなく活動をバックアップする指導者です。現場で働く人々の安全や健康を、ひいては幸福な生活そのものに責任を負う人、つまりは“その組織を管理監督する人たち”なのです。

組織の目的は、組織としての成果をあげること。人々のモチベーションを高め、活動への意気込みをより高くすることです。そのためにはそこで活動する人たちを、“生身の人間”としてとらえ、業務を人間に適したものにしなくてはなりません。

そして、これらを行うことが紛れもなく“現場のマネジメント”です。そしてそれが実行できるのが、生身の人間として触れ合い理解し合うことのできる現場の上司なのです。