最近、先生はルッシュ現代美術館設計コンペの審査委員長を務めたとおっしゃっていました。やっと一等当選者も決定し、予定される五年後のオープンに向けて、このプロジェクトもいよいよ本格的にスタートすることになったようですね。

数日前、ルッシュ会長からお知恵を拝借したい旨の電話が先生に入ったそうです。会長は一等案を見て、建築は間違いなく素晴らしいと確信したようですが、逆に展示コンセプトとの整合性がちょっと不安と思われたのです。

ですから建築に合わせて、展示コンセプトの見直しをしたいと考えて、キュレーターの補強が必要だと判断したとのことです。それで新たに数人の学芸員を選びたいようで、先生に推薦の依頼があったようです。

一人は日本人を選びたいともおっしゃっていて。検討した結果、候補に上がったのが心地顕さん。先生も、俊介さんが心地さんと仲の良いことをご存じで、あなたの意見を聞きたいとおっしゃっています。

それで心地さんへ打診をして頂きたいようです。心地さんともご相談の上、先生に直接ご連絡ください。

俊介さんはロンドンで心地さんとお会いする予定ですと言ってしまいましたがいけませんでしたか? このファックスが届かないといけませんので、ポルトガルのエストリルのホテルにも同じものを送っておきます。

それでは元気で旅をお続けください。

かしこ

宗像俊介様 六月十一日 里見律子]

※本記事は、2020年8月刊行の書籍『緋色を背景にする女の肖像』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。