溝口:それともう一つ。糖尿病患者は膵臓から分泌されるインスリンの量が少ないので血糖の上昇を抑えられません。しかし、イヌリンには血糖値を下げるインスリンの働きをよくする作用があるとともに、腎機能低下の患者にも効くと言われています。

菊イモは多糖類なので口から摂取しても体内で吸収されることなく腸内までそのまま届けられますから、成分ロスがあまりありません。また、糖尿病患者の食事は低GI食品の摂取が一般的ですが、ミネラル・ビタミンの豊富な玄米などは非常に良いでしょう。

低GI食品とは食べ物を食べた後、急激に血糖値が上がりにくい食品、炭水化物が分解され、糖に変わるまでのスピードが遅い食品のことです。大豆や大豆を素材にした食品なんかはすごくいいですよね。

余談ですが、私はスタッフに弁当を頼んだときでも「絶対に温めないで」と言います。理由は先ほどお話しした通りです。これはもう何年も前から実践していることですが、基本的にごはん類は冷や飯に近い状態で食べます。糖尿病の人もそうしてください。

中村:先ほどおっしゃっていたレジスタントスターチですね。

溝口:そうです。いろんなふうに食事を工夫し、運動療法を活用すれば、別に薬や注射などに依存する必要がない患者だっているんですが、医者は患者一律で治療法(薬・注射)を限定する傾向があります。

運動療法だってこういったものに対応でき、活用できるものがたくさんあるんです。医者もオールマイティーに対応する知識、技術、指導が必要になってきています。患者は単なる御用聞きの医者と御用聞き医療を必要としていません。

中村:患者も、医者に丸投げしてはいけないということがよくわかります。

※本記事は、2019年4月刊行の書籍『ゴッドハンドが語るスポーツと医療』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。