①不良率の改善でロスを改善

不良によるロス・コストは加工費や信用失墜まで入れると、果ては会社の閉鎖に至るなど計り知れない程大きなものですが、その中の直接の材料ロスだけでも相当な額になるものです。これらは言うまでもなく、不良率改善が材料費の削減につながることを意味しています。

このように、不良率は上手に進めれば短期に大幅な改善が可能です。「宝の山」と考えて積極的に改善に取組んで頂きたいことです。

不良率の改善については、大きなテーマなので改めて取り上げてみたいと思っています。

②試作回数を減らしてロスを改善

ものの製作には試作の工程があります。

その試作のロスがどれほどあるか工程ごとに把握しておられるでしょうか。その試作(トライ・ショット)の回数を減らすことが出来たらどれほどの効果があるか検討してみられてはどうでしょうか。

最近では、試作をコンピューター・シミュレーションで補って工程を短縮するケースが見られますが、これも実際の試作を省いて試作によるロスの発生を大幅に削減する有効な方法の一つです。

そもそも試作のロスはナゼ生じるのか、ロスの原因を追究してみるといろいろあることが分かります。

・連絡ミス(コミュニケーション・ミス)
・担当者の未熟
・機械操作の難度が高い機械の不調
・材料不良
・その他

それらの原因に適切に対処することでロスを削減することが出来るはずです。

印刷業F社の事例では、営業から印刷現場への連絡が遅く納品当日の連絡が多いことがあげられました。その結果時間の余裕がなくて、顧客の意向の伝達があいまいになったり、色合わせが十分出来なかったりして、いきおい試し刷りのロスが多くなっていました。そこで改善して当日連絡がゼロになったら、ロスが激減したのです。

このように試作ロスは技術が原因かと思いがちですが、

・営業による顧客の意向の把握の不足・不正確や遅れ
・社内の連絡の不足・不正確や遅れなどなど

意外にこの種のコミュニケーション・ミスが原因であることは多くの会社に共通して言えることです。原因を確かめ改善したい点です。

又、機械操作や調整が難しいために試作のロスが増えることもよくあることです。

その場合の対策もいろいろ考えられます。

・機械の改善・簡素化
・機械操作の標準化
・担当者の訓練その他原因を的確に把握して対処すれば、ここでも大きな効果が期待できます。

③廃棄ロスの改善(生産計画、在庫ロス)

生産計画のまずさや在庫管理のまずさによるデッドストックの廃棄ロスなども、そのまま利益減になる大きなロスです。

B社では、支援当初期末の廃棄ロスだけでも7~8千万円あるとのことでしたが、これは生産計画や在庫管理など全社の管理体制を地道に改善することによって削減されました。

このように材料費改善の着眼点や方法は実に多種多様です。大きな原因を抑え、有効な方法を見出すことによって大きな成果が得られます。

まとめ

1、材料費の改善は値下交渉だけではない
2、「ロスの削減」「設計変更」に着眼すれば大きな成果が期待できる