「変動費」の改善「材料費」

1、コストダウンの前に

①限界利益率が利益の源泉

限界利益(販売価格—変動費)は商品を1単位売って生じる利益を意味します。従って図1に示すように限界利益合計額が固定費額に達した点が損益分岐点になります。限界利益率が高ければ損益分岐点売上は小さく低ければ大きくなります。

限界利益率が利益の源泉で、コストダウンを図るときの大前提であり同時にこれを改善することがコストダウンの第一歩ということが出来ます。

②商品別・部門別限界利益をチェックする

御社では限界利益が個別(商品別、部門別その他)にどうなっているかが把握され管理されているでしょうか。把握されていたら、(図1)にならって整理してみてください。2~3割の商品や部門で利益の大半を上げている実態が浮かび上がってくると思います。

[図1] 限界利益

・利益率の高い商品は何か
・合計利益の80%をどの商品で上げているか
・赤字受注品は何か、赤字合計額はいくらか

それによって、

・今後どの商品を伸ばすか
・どの商品を縮小するか
・赤字受注品をどうするか

などの方針を明確にすることで、会社の収益性は大きく変わってきます。

(図2)はある計器メーカーのセグメント別収益性の分析例ですが、このように整理してみると何が問題か、どうすればよいかがよく理解できます。

・売上の26.3%(約1/4)で総利益の82.9%を上げていること
・売上の16.7% (約1/6)が赤字受注で、これによって総利益の31.4%を失っていること

コストダウンを考える時に、先ずこの点を検討され、個別管理が出来ていない会社では是非その管理体制を整えられることをお勧めします。

赤字受注に関する方針を明確にするだけで収益性を大きく改善した事例は、私の経験でも何社もあります。

[図2]ある計器メーカーのセグメント別収益性分析
出典:『80対20の法則』リチャード・コッチ著

2、材料費の改善(値下げ交渉以外にも方法はある)

1)材料のムダを改善する

どんなところに材料のムダがあるか、ムダの第一は不良品です。