私は、たいてい診察の時、親御さんや祖父母のことも聞きます。それは、症状をしっかりと把握するという目的と同時に、遺伝だからこそ幼少期から発症するのであって、発達障がいは決して「母親の育て方のせいではない」ということを強調したいからです。

本来ならば、お子さんの発達障がいに、手を取り合って向き合っていかなくてはならない夫や祖父母にまで「自分の育て方が悪い」と非難され続けている母親に、救いの手を差し伸べたいのです。

「お母さんの育て方のせいではない」というと、ほとんどの母親は涙を流します。

発達障がいのお子さんの接し方にはちょっとした工夫が必要であり、それは慣れるまでは少し大変かもしれません。だからこそ、父親を含む家族の協力が必要です。母親は、一人で抱え込まないで家族の協力をあおいでください。

抱え込んで不安になったり、疲れた顔をしたりしていると、お子さんに悪影響を与える危険性があります。そして、母親が笑顔で子育てができるよう、家族、特に父親はできるだけ子育てに協力してください。

家族の連携は発達障がいと向き合うための大きな力となるのです。一方、家庭と連携もとれない母親もいます。カサンドラ症候群のように一人だけ家庭内で浮いて、うつ病になっているケースも多く見られます。こういう母親はクリニックの心理相談でもサポートしていきます。

※本記事は、2018年10月刊行の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。