2-5 中心のL

m-SHELの関係で一番重要な因子は何かと言えば、それは中心に位置する人であることは間違いないでしょう。

ヒューマンエラーの発生については、当人の能力が影響するのは当然ですが、当人の体調によって受けるダメージが変わることも要注意です。ここで考慮したいダメージ防止のカベ、“体調”と“力量”の2つの要素について挙げておきます。

1)当人の体調の問題
電話の向こうから上司の怒鳴り声が聞こえます。「体調が悪かろうが、何だろうが、這ってでも会社に出て来い!」。これは一昔前の日本における“社会人を取り巻く環境”の1つといって良いかもしれません。

今は時代が変化し、以前ほど極端ではなくなりました。それでも「少しぐらい体調が悪くても仕事が押しているので、どうしても会社を休む訳にはいかない」と言いながら出社するという光景は、今日になっても見られそうです。

体調不良の原因は、“一過性の睡眠不足”、“風邪などの病気”、“頭痛・腰痛・胃痛などを引き起こすメンタル不調”、その時々により様々でしょう。しかし原因はどうであれ、体調不良は仕事の結果に対してストレートに影響します。当然ヒューマンエラーの発生頻度に対しても同様です。

必要なことは、周囲が“当人の不調に気付く機会”を作ること。一番実効性の高い方法が、朝のミーティングです。就業前に従業員の体調不良について、お互いが確認する。毎日顔を合わせている仲間だからこそ、その日の不調を察知しやすいのです。その際に何らかの徴候を察知した場合には、確実に上長に報告するなどの対応が必要です。

その日の朝にいくら体調が良くても、長時間同じ労働を続けているとどうしても疲れが溜まってきます。そのまま何の対処もせずに労働を続けると、蓄積した疲労が大きなダメージとして当人に襲いかかることもよくあります。

疲れが溜まったら、ヒューマンエラーが発生する前に何らかの対策が必要です。そんな時に無理なく実行できる対処法があります。

“シエスタ制度”とか“パワーナップ(power-nap)”という言葉を聞いたことはあるでしょうか。簡単にいうと所謂“お昼寝”というやつです。

皆さんは、“車を運転していて耐え難いほど眠くなったので、少し休憩をしたら予想以上に頭がすっきりした”という経験はありませんか。私事ですが、車を長時間運転していると異様に眠くなる時が時々あります。そんな時には、コンビニの駐車場で一口のコーヒーと10分程度の休息を取ることにしています。いつも驚くほどの効果を感じます。

日中に短時間の仮眠を取ると睡眠の効用が最大化され、集中力が増し、疲労が緩和されるのです。

自己申告制にはなりますが、職場にもこのような“パワーナップ”の考え方を取り入れた“休息という名のヒューマンエラー防止対策”を取り入れることをお勧めします。

組織のルールとして整備しておけば、間違いなく職場環境の改善につながります。そこまで時間が取れないという場合には、もっと短時間で実施できる“マインドフルネス”を取り入れるのも良いでしょう。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『 ヒューマンエラー防止対策』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。