この回答から考えますと多くの市民の方は治る見込みがない状態で食べられなくなった時は、無駄な医療は望んでおられないと思われます。

ただ今回のアンケートの場合は皆さんお元気で普通に生活されている市民の方々です。もしご自分、あるいはご家族が実際に病気になり食べられなくなった時にどんな決断をするのか。次は入院患者さんのご家族を対象に同じようなアンケートを取ってみたいと思っています。

さて前述のように食べられない時の選択は末梢点滴が一番だったのですが、実際によそから転院されて来る患者さんは鼻管栄養の方が一番多い。次いで胃ろう、とアンケート結果と逆になっています。

医療側と患者さんとの考えにギャップがあるのです。

治療法の選択時に十分な説明が行われて合意されたのか、あるいは今回のアンケートの内容について市民の方が十分に理解されて回答されたのか、今後もう少し検討する必要がありそうです。

ところで今回のアンケートを踏まえて当院で実際に末梢点滴を選択された方の経過をまとめてみました。何も飲まれず食べられない状態で500MLの末梢点滴1本だけの方の余命は32日でした。

点滴が2本になると数か月生存された2名の方を除いた平均余命は52日と1本の方のほぼ2倍でした。中心静脈栄養、胃ろう、鼻管栄養の方では他の合併症が生じない限り栄養障害で亡くなることはありません。

しかし栄養状態は安定するものの他の身体状態が改善することは難しく寝たきり状態がずっと続いています。ご家族の負担は決して軽いものではありません。自宅での介護はできず、1年の大半を施設利用で過ごされることが多くなります。

この状態を見ると果たして良い選択であったのかと考えてしまいます。大切な家族はずっといて欲しいと思うのも自然な考えです。でも命あるものは必ず終わりが来るものです。その様に考えることも大切です。

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『新・健康夜咄』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。