近年、食の欧米化が進み、大腸ガンが急激に増えてきたということで食物繊維を摂取しようという風潮がありますが、何でもかんでも大量に摂取することは避けたいですね。食物繊維を過剰に摂取すると亜鉛や銅といった必須ミネラルまで吸着して体外に排出してしまうという勿体ないことも起きるし、カルシウムの吸収率を低下させるということもあります。

中村:過剰に摂取せず、適度に適切なものを摂取するということが大事なんですね。

溝口:腸内細菌を増やすことを目的とし、イモ類、豆類、バナナ、ブロッコリーなどを普段から摂取していればいいんですよ。たくさんの栄養素がある中で体内で作ることができるものもあれば、体内で作れないものもあると言いましたが、オメガ3脂肪酸などは体内で作れませんからね。

中村:オメガ3脂肪酸とは?

溝口:青魚のEPAやDHAなんかがそうですよね。オメガ脂肪酸にはオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸、オメガ9脂肪酸などがありますが、ここでは難しいことは省きます。青魚に含まれるDHAやEPA、亜麻仁油(フラックスオイル)、えごま油などで摂取できるオメガ3脂肪酸は、細胞膜を柔軟にしたり、血管や筋肉、心臓などの機能性を高めます。そして、紅花油やゴマ油、コーン油、大豆油などからはオメガ6脂肪酸が摂取できます。

但し、サラダ油系の過剰摂取は避けた方がいいでしょう。なぜならば、サラダ油から発生するヒドロキシノネナールが、細胞を保護する役目を果たしている熱ショックタンパク質70を破壊して、細胞を殺してしまうからです。

そしてもう一つ。そのヒドロキシノネナールが脳のある神経細胞を殺してしまい、アルツハイマーや脳梗塞の原因を作る物質だということも覚えておいて下さい。また、オメガ6脂肪酸(マヨネーズ含む)を摂取しすぎるとアトピーや花粉症などのアレルギー症状の悪化や不調を招くおそれがありますので気をつけた方がいいと思います。

中村:怖いですね。サラダ油系の過剰摂取は避けます。

溝口:あと、悪玉コレステロールを減らす効果があると言われているオメガ9脂肪酸も適度に摂取することをお勧めします。オメガ9脂肪酸はオリーブ油などに含まれています。ただ、私の中では善玉と悪玉に分けること、表現することに少なからず違和感を覚えます。まあこれはまた別の機会でお話しするとして……。

※本記事は、2019年4月刊行の書籍『ゴッドハンドが語るスポーツと医療』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。