第九章 十年ぶりの恋

ショウ君も他の客と同様に私の下着姿の写真に興奮してくれたのだろうか。次の出勤日、なんと彼はさっそく店に遊びに来てくれた。半年ぶりに会うショウ君。彼はお店に来ることを私に言わなかった。いわばサプライズで登場したのだ。

私を見るなりショウ君は会えた喜びを噛みしめるように溜め息をついた。

「相変わらず可愛い、可愛すぎるよ、みゆちゃん」

可愛いだなんて、言われたのは久しぶりのような気がした。旦那もたまに私を褒めたが、それらは酷くわざとらしかった。なぜなら旦那の言うそれは夫婦生活を円滑にしたいが為のセリフに過ぎないからだ。

でもショウ君は違った。ハッと溜め息をつくように、心から感動しているようだった。私は自分の枯渇した心が、みるみる潤いに満ち溢れていくのを感じた。

ピンクらぶはお触り禁止のエステ店だ。しかし彼はゆっくりと優しく私の身体を触った。私は全く不快な気分にならなかった。むしろもっともっと触られたくて仕方がない。私の身体は反応していた。

一通りサービスを終えたあと、今日は何時まで働くのかと彼は尋ねた。私が答えると、彼は私の仕事が終わるまでどこかで時間を潰すから、この後少しドライブでもしないかと誘ってくれた。私は内心酷く舞い上がりながらもあくまで冷静なふりをした。ショウ君が帰ってしまったあとも勤務時間が終わるまで浮き足立っていた。

約束はしたものの、スッキリした彼は帰宅してそのまま寝てしまうのではないか。勤務時間が終わると同時に私は急いで店を出た。電話番号はまだ知らない。ショウ君に終わった旨をメールすると、彼は店の近くのパーキングに車を停めて待っているとのことだった。

接客で崩れたメークをさっと直す。そのまま彼の待つパーキングまで歩こうかと思ったが、勤務時間が終わったのに、いつまでも店の従業員専用駐車場に自分の車を停めておくのが忍びなかった私は車を出して、彼のいるパーキングへと向かった。

ショウ君はパーキングの入り口で立っていた。車内を覗き込みながら素早く私の車に乗り込む。