第九章 十年ぶりの恋

一口に風俗と言っても色んな業種がある。ソープ、ファッションヘルス、ピンサロ、セクシーキャバクラ。私はそれぞれの業種の値段とサービス内容との兼ね合いを見た。つまりはコストパフォーマンスだ。

そこで決めた私ができる最低限のボーダーラインは自分の身体を触らせないこと。男性器に関しては『手で触る』以上のことはしないことであった。そして辿り着いたのがメンズエステだった。

風俗について調べるまでは知らない業種だった。水着を着て客に全身マッサージを施したのち手で射精を導く。初めて仕事についた時から特に何の抵抗もなく仕事を終えることができた。

男性器に関しては正直見慣れていた。経験人数は少ないがセックスの経験は嫌という程多い。たまに身体を触ろうとしてくる客もいたが、その手を取って優しくなだめるとそれ以上は何もしてこなかった。

ちょうど、男友達が風俗で『ハズレ』を引いた話をしていたので、どうして文句を言わないのか聞いてみた。彼が風俗嬢を家に呼ぶと、細身の若い子という注文とは真逆の太った年配の女性が派遣されて来たらしい。

「そもそも女を買うってことに後ろめたさがあるんだよ男は。だからそういうことがあっても文句は言いづらい。要は、大ごとにしたりトラブルを起こしたくないわけ」

私は大人しく、されるがままの客達の姿を思い浮かべて納得した。そしてその女を買う後ろめたさを払拭できるように努めると、私は続々と客達からの指名を受けるようになった。