5頭が親子…ではなかった!

強い絆で結ばれていて、相互に強い信頼関係にあるからくっ付いて離れないのだと解釈すると、5頭が親子であろうと推測するのは当然のことだろう。しかし実際はそうではなかった。

では、親子の関係以外にこのように強い絆で結ばれる関係が5頭間にはあって、離れていた1頭にはなかったということになる。不思議なことだ。では、どのような関係だろう? 5頭と1頭を解析結果から分けるとすると、性別で分けることしか思いつかない。

離れている1頭が雄だったかどうか、今となっては分からないので、科学的に証明することはできない。4人の子供が母親でもないおばさんにしがみついて離れない光景を人の社会で目撃したとしたらどう思うだろうか。

本当に親ではなかったのだろうかと疑ってしまうほど奇妙なことだが、観察結果をそのまま受け入れるしかない。ハツカネズミの社会では親子でなくてもお互いが強い信頼関係で結ばれることがある、ということにした。

もしも離れていた1頭が雄だったとすると、さらに奇妙な光景を目にしたことになる。雌と雄が分かれて行動しているのだろうか。「男女7歳にして席を同じゅうせず」という言葉まで浮かんできた。