第2章 障害のある子どもの理解

障害とは?

さて、障害の定義については、1980年に世界保健機関(WHO)が国際障害分類試案(ICIDHモデル)を示し、障害を「インペアメント」、「ディスアビリティ」、「ハンディキャップ」の3つの概念でとらえました。図1のとおりです。

[図1]WHOの障害の分類(ICIDHモデル)(筆者作成)

図1を説明しますと、人は疾病または事故などで変調をきたすと第1レベルのインペアメントの障害が生じます。まず、事故によって手を失うのが第1レベル。次に第2レベルとしてディスアビリティの文字が書けないという能力障害が生じます。さらに第3レベルとしてハンディキャップの入試や入社試験を受けることができないという、社会で不利益が生じてきます。

この時代の障害の定義は、ICIDHモデルといいます。国際分類のIC(International Classification)に、ImpairmentのI、DisabilityのD、HandicapのHの頭文字を連ねたものです。これにより、全世界的な障害の定義がなされました。翌年の1981年は国際障害者年であり、全世界的に障害者の啓発活動が展開されました。

その後、ICIDHモデルはさらに改訂を重ね、2001年にはICFモデル(International Classification of Functioning, Disability and Health)と呼ばれる障害構造モデルとなりました(図2)。

[図2]国際障害分類改訂版・ICFモデル(上田敏『ICFの理解と活用』から)

ICFモデルでは、インペアメントの部分が「心身機能・構造」、ディスアビリティが「活動」、ハンディキャップが「参加」に変わりました。さらに、「背景因子」として「個人的因子」と「環境的因子」という要因が加わりました。