第3章 ヒューマンエラー防止対策

1、ヒューマンエラーとスイスチーズモデル

皆さんは、ロールプレイングゲームをしたことはあるでしょうか。ゲームの中で、主人公が旅をします。スタートの時点では主人公の持つライフポイントは100%です。そして、途中の各ステージで悪者と戦いますが、その戦いで受けたダメージによりライフポイントが減少してゆきます。ゲームのプレイヤーは自分のライフポイントが減らないように、戦う相手の攻撃能力を弱めるために手を尽くしたり、相手との間に防御のカベを作ってダメージに対抗したりもします。

更には、途中で回復薬や味方の応援など、ライフポイントを増やす要素も取り込みながら、ゴールを目指します。そして、ポイントを残した状態でゴールまでたどり着くことができれば、ゲームクリアとなります。

ヒューマンエラーの防止対策も、これと全く同じだと考えられます。戦う相手は、4つの要素SHELです。それぞれからマイナスの要因が放たれます。それに対してダメージを防ぐ対策を考えるのです。(図1)

放たれる要因そのものの量を減らすのか、発生量は減らせなくても自分にふりかかるダメージを少なくするのか。状況に応じて対策は異なることでしょう。

“休憩時間”という名の自身への回復薬を処方することも可能です。助っ人として他者の応援を要請することもできます。

具体的な対策を考えるのはヒューマンエラーをなくすことを願うプレイヤー、つまり私達です。

[図1]ヒューマンエラー防止のモデル図