医療の中で医師は患者さんの状態を何とか改善したいと考え医療を行います。しかし必ずしも願った通り、考えた通りの結果が出る訳ではありません。

Sさんの場合も結果はうまく行ったのですが、逆に緊急手術が必要となったとしても不思議はありません。事故が起きないように配慮して行ったのですが、化石医師はラッキーだったのかもしれません。

医療事故調査委員会の「刑事告訴もあり得る」という厚生労働省案に対し全国医学部長会が異議を呈しています。医療において良くしようと思って行っても結果が思わしくないこともある。その結果刑事告訴されるようなことになれば外科、産婦人科志望医師はいなくなる。新しい医療へのチャレンジもなくなり医療が進歩しなくなるという理由です。

医療事故は起こしてはなりません。でも細心の注意をしていても起こる場合もあります。

当院は比較的医療事故、訴訟の少ない病院です。でも今までに数回医療事故がありました。そのような場合院長としての立場上事故の当事者共々お詫びに伺いました。

事故を起こした責任は十分に感じ、申し訳ない気持ちで伺うのですが「土下座しろ。給料や退職金など全て差し出してお詫びしろ」などと人格を否定されるような怒号を浴びせられ、随分情けない気がしました。

事故調査委員会の目的は何故事故が起こったのかを詳細に分析し、同じような事故が生じることを予防することです。罪を問うものであってはならないものと思います。

昔、化石医師は手術困難なご高齢の方の膵囊胞に内視鏡的に十二指腸の壁を貫いてドレナージを行ったり、手術困難なご高齢者の食道狭窄や腸管の狭窄に対し自作のステントを挿入留置し退院させることができました。

いずれも後年治療法として広く行われるようになりました。

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『新・健康夜咄』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。