第3章 ヒューマンエラー防止対策~スイスチーズモデル

第1章では、m-SHELモデルを用いて人と人を取り巻く各要素との不整合が、人間の脳に間違いを起こさせるマイナスの要因を生み出し、それがヒューマンエラー発生の原因になると説明しました。

それならば、これらマイナス要因の発生を阻止するか、もしくは問題となる要素を改善することが、ヒューマンエラーの防止対策として有効なはずです。

第3章では、モデルの各要素別に具体的な防止対策を考えます。

1、ヒューマンエラーとスイスチーズモデル

“スイスチーズモデル”(図1)というものを御存じでしょうか。英国のジェームズ・リーズンという心理学者が提唱した事故発生の概念モデルです。

モデルの中身は、事故の発生はいくつかのカベを設置することにより妨げられている。しかし、「それぞれのカベは完全なものではなく、ところどころに穴が開いており、その空いた穴が一直線につながり、その一直線上を“危険”が通り抜けてしまった時には、事故が発生してしまう」というものです。

このモデルでの説明では、いくつかのスイスチーズの切れ端が並んでいて、そこで、一直線に穴が並び素通しになった時に事故が起こると説明されています。

写真を拡大 [図1]スイスチーズモデル