それが不戦勝の気分やね。なんか奥さんも気の毒な気がして来たわ。

 捨てぜりふって、弱い者がいうものと決まってるやんか。今回は強い者の方が、辛く寂しかったっていうことや。

 この頃の弱い旦那さんは、奥さんの事をなんて呼んでるんやろ。

 今の若者は名前で呼ぶのが多いんとちゃうか。

 二人が納得してたらええねんや。

 旦那の親の前では、絶対に呼び捨てはあかんで。

 なんで。

 特に母親の前ではあかん。可愛い息子を嫁が呼び捨てにするなんてって怒りよるで。

 息子が納得しとったらええやんか。

 あんたは息子の給料で生活してるんやろって言いよるで。

 うるさいババアやな。そんなおとなしい亭主ほど、近所のおばちゃんに、評判がええねん。

 悟りを開いたお坊さんの様な旦那さん。

 なんや悟りを開いたお坊さんて。

 出世も願わず、昇給も願わず、電車から吐き出されて、会社に行き、電車に押し込まれて、我が家に帰ってくる。

 みじめやなあ。

 帰って来たら「ああ、疲れた」って口癖みたいに言うねん。

 ほんまに疲れてるねんで。

 女や子供の様に、ネを上げるのを、恥と思う精神が欠如してるねん。

 そうやろか。

 アゴを出すのを当たり前やと思ってんねん。

 どこの奥さんも、そう思ってるんかな。

 その証拠に、そんな事してたら、パパみたいになるよって言われてるやろ。

 子供の教育に悪いなあ。

 子供も、よう知ってて、分からんことがあっても、父親には絶対聞きよらへん。

 今の子供も怖いな。

 あんたのとこも気をつけや。

 もうええわ。

※本記事は、2019年12月刊行の書籍『もうええわ!』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。