OJTのみを重視する企業は年々減少しています。これに対して“OJT重視に近い”“OFF-JT重視に近い”がともに上昇しています。これは技術進歩の激しさや価値観の多様化などから企業の現場が時代に追いつけなくなっており、人材を育てる場として限界が出ているということに原因があります。昔ながらのOJTだけでは教育効果は期待できず、それに伴い、今後OFF-JTがますます重要になってくるものと思われます。

OJTは各企業が主業務の中で行っていますので、年間総労働時間1740時間の中、どの程度の時間をそれに充てているのかを推定することはできません。一方、OFF-JTは通常業務と切り離して行われていますので、年間教育時間を把握することができます。

次頁の図はOFF-JT、標本数1万(国内の日本標準産業分類による15大産業に属する、30人以上の常用労働者を雇用する企業および事業所のうちから一定の方法により抽出した企業で実施)で想定回収率40~50%(目標回収率は50%)とし、信頼水準95%、性・年齢別各層での許容誤差10%としていますので、現在の働く人の実態が表されています。

正社員でOFF-JTに費やした年間延べ時間は、10時間から20時間未満が最も多く、次が5時間から10時間未満となっています。年間10時間から20時間を月当たりに置き換えると、1カ月1時間から2時間となります。年間総労働時間1740時間のわずか1%にも満たない割合です。非正社員に至ってはOFF-JTはほとんど行われていないという状況です。

次に、時間外の社内の自主的勉強会や外部教育機関、通信教育などを通じて自己啓発を行った年間延べ時間を見てみましょう。

[図2]OFF‐JTに費やした延べ時間

2013(平成25)年度の自己啓発を行った受講延べ時間が下のグラフ(図3)です。正社員で年間10時間から30時間未満が最も多く、30時間から50時間未満が続きます。月に1時間から週に1時間ほどを自己啓発に使っているようです。年間200時間以上も4.7%ほどあります。これは資格取得などへのチャレンジが想定されます。

[図3]自己啓発を行った延べ受講時間

こうして見ますと、労働時間内におけるOFF-JTの教育時間は十分ではない状況です。OFF-JTで年間10時間から20時間といえば月に1、2時間といったところですので、人を資産として育て形成するには十分とはいえません。

※本記事は、2020年1月刊行の書籍『確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。