その七 家族病

⑮ 夜と昼と取り違えた生活

平成二年の包丁刺傷事件以来、私の心には恐怖心が広がり、毎日一日中ピリピリしていましたから、パジャマを着て休むことができない日が、続くようになっていました。

彼は、依存症の症状が段々酷くなってきていました。連続飲酒して仕事に行けなくなっていました。連日お酒を飲んでは昼間寝て、私が帰ると彼は起きてきて絡みます。夜と昼を取り違えたような生活、彼と私は二人して酒にとらわれ、身も心もクタクタでした。

茶碗や鍋、食卓用の椅子は何脚壊したでしょう。いろいろなものが投げられました。魔法瓶は中のガラスが割れて飛び散り、消火器を投げられた時は部屋中粉だらけ、蛍光灯や台所の引き戸までも壊れています。食卓もひっくり返される度にガタピシしていきました。