その時です、製品の抜出作業を行う担当者から、製品がホッパーから出てこないという連絡が入りました。含有する水分増により粘着性が増した製品がロータリーバルブの中で詰まった様子です。

[図1]ロータリーバルブの構造
(図提供:アイシン産業株式会社)

あなたは、計器室の監視を他の者に頼み、抜出し担当者を伴い2人で現場に駆けつけました。問題を解消するにはロータリーバルブの中の詰まりを取り除く必要があります。上長からは動く機器の配管を外す時は、必ず動力線の元電源を切るようにと指示を受けていたのですが、それをすると夜の勤務時間内での製品抜出しが難しくなります。

そこで、ロータリーバルブの横に設置されているON-OFFスイッチ(機側スイッチ)の操作を抜出し担当者に指示し、自分がローターに詰まった製品を手で掻き出す作業を行うことにしました。

ロータリーバルブは内部に8室の空間があります。少し動かしては中の詰まりを掻き出すという操作を8回行えば、バルブの詰まりを全て掻き出すことができます。スイッチ操作をする者と掻き出す者とが声を掛け合って操作すれば、簡単に作業は終わります。

直ぐに作業に取り掛かり、3つ目の空間の除去を終わろうとしたときです。停止しているはずのローターが、合図を出す前に動きだしました。あなたは動くということを全く予想していなかったため、バルブ内に深く突っ込んだ手を引き抜く暇はありませんでした。

【検討のポイント】

通常の勤務の中にも、リスクテイキング行動を行わせる“罠”が存在します。また、関係する人、判断に関わる人の数が少なくなればなるほど、その発生確率は高くなります。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『 ヒューマンエラー防止対策』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。