2011年11月1日 季節と病気

今年は急に暑くなったり寒くなったり天候も不順のようですが、ここ数日はやっと本格的な秋になった気がします。今回は季節と病気について少し書いてみます。

当センターは膠原病、リウマチ、痛風の患者様が多く受診されていますが、とても興味深いことに各々の病気で苦手な季節が異なります。

まず、最も患者様の多い関節リウマチですが、病状が春に悪化し、秋に改善することが分かりました。これは当センターで2000年から患者の皆様のご協力を得て行っているIORRA調査で初めて分かったことです。IORRA調査は毎年4、5月と10、11月に実施していますが、リウマチの状態を示す指標が毎年4、5月に悪くなり、10、11月が良いのです。

確かに春先はイマイチという患者様が多いことは分かっていましたが、患者さんの感じ方だけでなく、血液検査のCRPや赤沈も4、5月は悪く、10、11月に良いことが分かりました。

最近ではリウマチの治療が良くなりましたので、この季節変動は年々少なくなる傾向にありますが、それでも明らかに春悪く、秋に良いのです。なぜそうなるのか、現在鋭意研究しているところですので、また結果が分かりましたら報告します。

次に膠原病。これは疾患によって異なります。全身性エリテマトーデスは日焼けで症状が明らかに悪化しますので、紫外線が強い初夏から夏は要注意の季節です。日焼け止めや帽子、日傘などで肌を守るようにしてください。

逆に、強皮症では末梢循環が悪くなってレイノー現象などが起こりやすい冬が要注意です。その他の血管炎を起こす膠原病も、循環が悪くなる冬がやはり要注意の季節です。今は11月ですが、これから寒くなりますので、温かくしてお過ごしください。

最後に痛風。痛風発作は春と秋に多いとの報告がありますが、当センターで調査したところでは、痛風発作は夏が最も多く、また血清尿酸値も夏が最も高いという結果が得られました。汗をかいて脱水気味になると尿量が減って、血清尿酸値は上昇します。

だから夏は血清尿酸値が高くなると思われますが、もうひとつはビールでしょう。どのアルコール飲料も血清尿酸値を上昇させますが、プリン体の多いビールは最も血清尿酸値を上昇させます。

ビールの消費量はやはり夏が断然多いので、夏に尿酸が高い原因のひとつになっていると思われます。ただし、ビールの消費量は夏だけでなく、年末の忘年会シーズンにも増加します。これから年末にかけては、痛風の患者さんも気を付けていただきたいと思います。

※本記事は、2019年1月刊行の書籍『リウマチ歳時記』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。