ですから、高機能自閉スペクトラム症のお子さんには休み時間にも何をすればいいのかを、修学旅行の時間割のように分刻みで予定を立ててあげるのが良いでしょう。そして、予定が終わったら、その部分だけ消去すればいいのです。

積極的で自分でなんでも決めたがるタイプの人がそばにいると、人間付き合いもうまくいきますし、「これ、買って買って」とか「こうじゃなきゃ嫌だ」などと自分の主張を言うことも少なく「育てやすい良い子」なので、本人も周りもそのまま自閉スペクトラム症であることを自覚せずに成長してしまいます。

そして、高校や大学などで自発的に学習や人間関係の構築をしなくてはならなかったり、社会に出て自分が責任を持って行動を起こさなくてはならなかったりする時に、突然困難が生じてしまい、その時にはすでに症状が進んでしまっていることも多くあります。

また、これまでの報道やインターネットなどで、アスペルガー障がいやアスペルガー症候群という言葉を見たり聞いたりした方もいるでしょう。

高機能自閉スペクトラム症のうち、3歳で「ママ、ネンネ」「ブーブー、イタ」といった名詞と動詞のみを使う「二語文」を話し、他人との会話が可能でコミュニケーション能力があると見られた場合を、アスペルガー障がいやアスペルガー症候群として区別していましたが、DSM-5ではアスペルガー障がいもアスペルガー症候群も自閉スペクトラム症として診断することになりました。

※本記事は、2018年10月刊行の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。