それに対してリスクテイキング行動は、意図されたもの、行動する本人が思考を重ね、出した結論をその通りに誤りなく実行するものです。つまり、リスクテイキング行動とは、その思考の結果出した答えを間違えることなく行う“ルールからの逸脱行動”なのです。そして「リスクテイキング行動は、ヒューマンエラーと並ぶ事故や労働災害の2大原因の1つだ」と言われています。

人が意図的に行うか否かの観点においては、ヒューマンエラーとリスクテイキング行動とは、全く正反対のものです。しかし、他の者がこれらの行動を見た場合に、当人の行為の中に“自覚があるのかないのか”の見分けはつきにくいものです。

従って防止対策を考えるときには、お互いの行動理由や特徴をしっかりと理解し、意識的な行動なのか無意識的な行動なのかを見極めることが必要です。正しく判断することで、それぞれに適した防止対策につなげることができるのです。

いわば“分水嶺のどちらに位置しているのかをハッキリと見極める”そのことが防止対策を検討するうえでのポイントになります。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『 ヒューマンエラー防止対策』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。