高カロリー輸液はカロリーも確保でき、見た目はいかにも医療的ですが感染の危険も高く長期に行うべきものではありません。末梢からの点滴では生命を営むだけの必要なカロリーは得られません。こんなお話をしながら患者さんのご家族と今後の栄養確保について相談するのですが、明確な回答が得られるはずはありません。

さて「食べられない。どうしよう」と悩んでいる中、何と3日間という短期間に何の前兆もなく4人の方が突然の呼吸停止で亡くなられました。おかげで化石医師は土日休みもなく呼び出されるはめになりました。

さて残された方のうち2人の方は少量ですが、何とか食べられるようになり1人は施設にSさんは家へ戻られました。でもそれか1週間後Sさんが亡くなられたとの報告が届きました。

病院に残った方の中で施設より入院されたIさんは何とか少量ですが、嚥下はできるようになりました。近親者はなく遠縁の方は自然のまま看取りたいとのご意向です。それなら施設に戻って頂こうと思いました。

しかし「歩けない人は受け入れできない」と拒否されました。やむなく当院の療養病棟でお世話しましたが、幾ばくもなく自然に旅立たれました。

さて2013年3月で化石医師は院長を退きました。雑用から解放され診療に専念でき毎日「良い医療を行おう。良い医師であろう」と自分に言い聞かせ外来に臨んでいます。今頃そんなことを思うのは遅すぎか。

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『新・健康夜咄』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。