立春をすぎてぬくとき雨ふりぬ
石路の芽はあかく萌えたつ
きさらぎの風荒るる野にはこべらの
白くむらがり花を持ちたり
*きさらぎ 陰暦の二月、太陽暦では三月。
ひらひらと惑ひきたりし紋白蝶
庭の花菜の花粉にまみる
※本記事は、2014年2月刊行の書籍『歌集 忘らえなくに』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。
歌集 忘らえなくに【第9回】
四季がある日本は移ろいやすいのだろうか。
行き交う人々の心や街の景色は千変万化で、過去はさらに記憶の彼方へ押しやられてしまっているかのよう。
だが、南の島々には、あの戦争を経ても変わらぬ日本の心が残されていた。
過去と現在、時間の結び目を探しながら、日本古来の清き明き心を見つける旅の歌短歌集を連載でお届けします。
立春をすぎてぬくとき雨ふりぬ
石路の芽はあかく萌えたつ
きさらぎの風荒るる野にはこべらの
白くむらがり花を持ちたり
*きさらぎ 陰暦の二月、太陽暦では三月。
ひらひらと惑ひきたりし紋白蝶
庭の花菜の花粉にまみる