最初に会ったときからウマが合いそうな気がしたし、年齢が近いということもあって、友達のような気軽で親しい関係になりたいと思った。

だからそういう意味のことを沙也香のほうから提案した。そして実際にそんな親しい関係になり、現在もそのまま続いている。

沢田まゆみはすごく素直な性格で裏表がない。いい言葉でいえば実直。悪くいえば単純、ということになるだろうか。そんな彼女の人柄を沙也香は好きだった。

彼女と話していると心が癒やされる気がするから。容姿は十人並みで美人とまではいかないが、プロポーションはモデル並みだ。だけど本人はそんなことを意識しているようすはまったくない。

その沢田まゆみが電話でこんなことをいってきた。

「沙也香さん、K大学の高槻教授って知ってます? 歴史学者ですけど」

「ええ、知ってるわ。一冊だけなんだけど、高槻教授が書いた本を読んだことがあるわ」

「その高槻教授が沙也香さんに会いたいといってこられているんです。なんでもなにか頼みたいことがあるとかで」

「え、頼み? わたしに? いったいどんなことかしら」

「それを聞いてみたんですけど、沙也香さんに直接でないと話せないとおっしゃるんです。それで沙也香さんの連絡先を教えてほしいといわれているんですが、教えてさしあげてもいいですか」

「ふーん、そうなの」とつぶやいて少し考え、

「ええ、いいわよ。教えてさしあげて。高槻教授の頼みってどんなことなのか聞いてみたいから」と答えた。

「わかりました。ではそこの電話番号を伝えますね」

そういうと、電話は切れた。

 
※本記事は、2018年9月刊行の書籍『日出る国の天子』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。