子供ができれば女性の自由は奪われる。実際同じクラスでも交際していた年上の男との子を身篭り、退学せざるを得なくなった女子や、留学費用を貯めるためバイトをしていたのに子供ができたことで結局留学は諦め、コンビニも辞めてしまった先輩を私は目の当たりにした。

また中絶は女性の身体への負担や精神的ダメージも大きく、二度と子供ができない身体になってしまうかもしれない。子供を産まなくとも心身ともに女性に深い傷を残すのだ。そんなリスクをまるで考えないような男と仕方なく結婚して、幸せになれるとは到底思えなかった。

私は大好きな宮本さんの人生を返せと心から相手の男を恨んだ。そして自分を守らず何も考えずにあっさりとそんな男を受け入れてしまった彼女を哀れに思った。

「堕ろすのは怖いし、手術する金もないしさぁ」

宮本さんの言葉に、私はただ呆然とした。経済的に余裕がなく、泣く泣く堕胎する人も多いなか、中絶をする金すらないために産む決断をする人間もいるのか。

産んでからのことはまるっきり考えちゃいない。子供を育てるのには中絶費用の何倍も金は必要だろう。

宮本さんは目先のことしか考えられない。妊娠という壁にぶち当たった今、自分にとって何が最善なのかを、彼女なりに選んだ答えらしい。子供は、産んで終いではないのに。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『不倫の何がいけないの?』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。