フェリーの舳先に海豚をどり出で
背鰭にしぶきあげてつきくる
仏ヶ浦に潮みちくれば波の反射
観音岩の裾にゆらめく
とぶ鳥も翼たわめて吹く風の
大間の岬に疲れよろばふ
※本記事は、2019年9月刊行の書籍『歌集 秋津島逍遥』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。
歌集 秋津島逍遥【第25回】
“忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す”
――日本の面白さに旅装を解く暇もない
最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。
尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。
フェリーの舳先に海豚をどり出で
背鰭にしぶきあげてつきくる
仏ヶ浦に潮みちくれば波の反射
観音岩の裾にゆらめく
とぶ鳥も翼たわめて吹く風の
大間の岬に疲れよろばふ
下北半島 西海岸は仏(ほとけ)ヶ浦と呼ばれ、その突端にある大間岬は本州最北端の岬。大間岬の向かって右が尻屋崎(しりやざき)である。