「コンドームをつけないでセックスしてみたくない?」

ある雨の日、学校帰りに雄太を連れこっそり自分の家に帰り、そう言ったのは私のほうだった。

珍しく祖父母が用事で夜まで家に帰ってこないことが分かっていた日だ。それでも私は祖父母を警戒して、雄太と自分の部屋に篭り鍵をかけた。テレビも何もない部屋で私たちがやることといえばセックスしかなかったのだが、私の部屋にはコンドームがなかった。雄太は今日はやめようと言った。しかし私はコンドームをつけなくたって中に出さなければ絶対に妊娠はしないと明言した。

度重なるセックスで、雄太が射精をある程度コントロールできていることに、私はなんとなく気がついていた。だから失敗しない自信があったのだ。

私がコンドームをつけずにセックスをしようとその時提案したのはただの興味本位だった。生で挿入されたら、どんな感じなのだろう?

雄太は最初は乗り気ではなかったが、私が懇願するとついに根負けしたようだった。

でもいざことが始まると雄太はセックスを楽しめてはいないようだった。妊娠するかもしれない不安のほうが快感よりも勝っていたようだ。ちなみに私もコンドームをつけている時との違いはたいしてないように感じた。

結局その日雄太は射精することもなくすぐにことを終えてしまい、その後は二度とコンドームをつけないですることはなかった。

もし、あの時のセックスで妊娠していたら、私はどうなっていただろう。

宮本さんの妊娠は十五歳の私にリアルな衝撃を与えた。

私の頭の中では未婚の宮本さんと妊娠は結びつかないものだったのだ。しかし未婚だろうが既婚だろうが関係ない。初潮を迎えた女性はセックスすれば妊娠する可能性があるのだ。しかし宮本さんはそもそもセックスとも結びつかないのだった。

金髪にパンダメークの宮本さん。パチンコが趣味で未成年だが酒や煙草が好きな宮本さん。彼女の素行が良くないことは百も承知だった。それなのに宮本さんは信じられないほど高潔だった。それは宮本さんの無邪気さからきているに違いなかった。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『不倫の何がいけないの?』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。