第一章 注射にしますか、お薬にしますか?

毒魚に珍味あり、オコゼ、ゴンズイ、フグ、アイゴ​

実はオイラも尻の穴では人に言えない経験があるゾ。

まだ三〇代の頃だった、磯で滑り落ちて、岩角で股ぐらをしたたかに強打した。
眼前は真っ白、息もできない状態だった。
正直タマタマが潰れたと思った。

それでも十分余りで立ち上がり、我慢して釣りをした(釣りキチなのである)。

帰り道に立ち寄ったトイレで薄い血尿が出た。
翌朝痛さがまだ残っているので、近所の泌尿器科に行った。

「バンドを緩めて、うつ伏せになってください」

カーテンを引いて、看護師がズボンを下げる。
医師が入って来た。

腹の下に枕を入れ、尻を持ち上げさせ、尻の穴をムニュムニュムニュ、
ワセリンのような物を肛門に塗っている。

「力を抜いてください」と言うや否や、
「クニュ~ッ、ズボッ」とドクターが指でコーモンの奥をまさぐる。
「アレ~ッ、ウ、ウ、ウフン……」と、そんな感じだったかもしれぬ。

「異常なし」を聞いて慌てて病院を飛び出たが、直ぐ異常に気が付いた。

つま先立って、小股で、チョコチョコチョコ。
なんと! 内股に歩いているのだ。

「キャアー」オイラが内股で歩いている!

以来、泌尿器科には行かぬ。
あんなことを毎回やられては! 癖になる。