ベルツの実験「人力車の走力実験」と食の関係性

当時の日本人の体力がいかに超人的だったのかを現す有名な実験があります。それが、『ベルツの実験』です。ベルツは明治時代に、外国人医師として東京大学へ招聘され、日本人を指南する立場にありました。ある日彼は、俥夫と食に注目し、人力車に乗り込み、車を引かせてみました。

俥夫には、お米(玄米)、イモ、大麦、稗、粟などといった日本古来からの低脂肪・低タンパク、高糖質の食べ物を与えました。驚くことに日光まで馬車とほぼ同じ時間で走れたのです。

しかしその後、牛肉を与え、高脂肪・高蛋白・低糖質の食べ物を与えると、疲れやすくなり、途中で走れなくなってしまったのです。それから穀類食に変更すると、また走り続けました。『日本人には日本食が最高である』と気づいたベルツは、帰国後にその価値を伝えたと言われています。

菜食者と肉食者のどちらが優れているのか耐久力実験で、現代栄養学がすすめる肉食を常食としなくても、十分に動けると言う栄養学の仮説を明らかにした事例です。

肉食と穀類食の違い 最強の日本食

ベルツの実験、菊地氏のアスリート食研究に共通するのは、良質な穀物食を摂取すると、代謝機能が活性化し、長時間・高エネルギーを発揮することができる点です。

医学的にも「穀物は、他のどの食品よりもエネルギーが高く、満腹感が得られ、旨味があって味覚を満足させられる。精神活動によって脳を酷使する人間には、こうした条件は欠かせなかったのです。穀物には、長期間保存ができるという利点もありました。代表的な穀物としては、米、小麦、とうもろこし、稗、粟、黍、大麦、ハト麦、そば、そして豆類やイモ類です。

穀物は、その多く(八十~九十%)がデンプン質なのですが、これは健康に欠かせないものです。デンプンは、胃腸に負担をかけず、ゆっくり消化吸収され、毒素を吸着しながら便となって排泄されます。これにより、コレステロールや飽和脂肪は低く抑えられ、動脈硬化や糖尿病などの予防に役立つのです」と証明されています。(著:鶴見隆史医師「正しい玄米食、危ない玄米食」)

※本記事は、2020年8月刊行の書籍『超元氣! 現代病を防ぐニッポンの知恵』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。