第1章 夫婦の問題

(10)セックスとコミュニケーションの性差

▼コミュニケーション:女性は会話の共有、男性は問題解決の手段

男女のコミュニケーション機能にも明らかな性差があります。

一般に男性は、コミュニケーションを問題解決や目的達成のための手段だと認識しています。意見を交わすことで問題点を明確にし、信頼関係を築くのは交渉で優位に立つためだからです。このため、たとえば、単に話を聞いて欲しいだけの妻に「それで、君は何が言いたいの?」という発言は、彼女の不満を招くだけですので、ご注意ください。

さらに、職場での序列や優位性をめぐる競争過程で、心のきずなを重視しない人間関係にすっかり慣れてしまっています。多くの男性は、心のきずなのために必要なコミュニケーション機能を磨こうとは思っていないのです。職場から離れ、地域社会や家庭に戻って競争意識がオフになると友人や妻でさえも、より良い関係構築のために努力すべき対象にはなっていません。当たり前の存在として認識し、今以上の心のきずなを築こうとはしていないのです。

男性にとっての交流は、「おしゃべり」以上に、野球やサッカー、またはゲームを一緒にする、スポーツを観戦する、一緒にお酒を飲む、などのようにスポーツや興味がある「媒介するモノ」を通して成立しています。このような交流である限り、人間関係に配慮することも、関係維持のためにコミュニケーションを活用する必要もあまりないのです。

ところが女性は違います。女性は小さいころから、雰囲気や気持ちの変化に敏感で、周囲の人間関係を読み解き、お互いのきずなを大切にしてきたのです。優れた言語的感性と高い聴覚的感受性を駆使して、共感関係を築き、維持する努力を惜しまなかったといえます。お陰で、男女のコミュニケーション機能に格段の違いが生まれてしまったのです。

女性にとってのコミュニケーションは、主に会話を共有して楽しむことです。自分が話すことが喜びとなり、ただ聞いてもらうだけでよいのです。男性のように何か媒介するモノがなくてもよいのは、電話だけで何時間でも話ができることからもわかります。