俳句・短歌 歌仙 2020.09.20 歌集「ひとり歌仙」より三首 ひとり歌仙 【第8回】 田中 靖三 “気がつけば超電導の虜なり” ――科学と日常を結びつける新しい文芸の形。 電気抵抗ゼロで世界に革新をもたらす夢の科学技術「超電導」。日々刻々と新しい技術に取って代わられる科学の世界において、人の寿命にも伍する100年以上の歴史を刻む「超電導」を、「5・7・5」の長句、「7・7」の短句を詠み重ねる歌仙方式で花鳥風月を織り交ぜ、詠いあげる。科学叡智の結晶「超電導」は、歌仙の響きと共にやさしく世界に溶けていく。 松尾芭蕉が作り上げたと言われるこの型式の、独吟による「ひとり歌仙」を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 指先も触れで零るるむかごかな 百年祭跳ねはや五年 新顔や風の噂の飛び交ひて 十八番台詞は超電導よ 花の雲この星ばかり棚引きぬ 東風に吹かるる晴れ着眩しき
エッセイ 『59才 失くした物と得た物』 【新連載】 有村 月 結婚してから35年、「愛」はなくとも「情」は生まれる ダンナが死んだ―まさかの現実。自覚はなかったが、この時から私の「おひとりさま」は始まろうとしていたようだ。たしかにダンナは肝臓の数値が悪いと1ヵ月半入院したものの退院、体力も少しずつ戻りはじめ還暦祝の1泊旅行もし、そのたった1週間後にはこの世からいなくなるなんて、頭の中のすみっこにさえなかった事。よくいう野球の九回裏2アウトからの逆転満塁ホームラン的な。その1年半前、最愛の母が「くも膜下出血」で…
小説 『ザ・総選挙』 【第22回】 利根川 尊徳 「最初から結果が分かっている事の方が選挙としておかしいもの」武藤は呟いた 誰一人として抜け駆けする事なく「そんな姑息な真似はしません!」と口を揃えたのに対して、与党と野党の候補者は、当初は「私も小選挙区一本で挑みます」と威勢のいい事を口にしていたのだが、マスコミの情勢分析が進むにつれ、「私は折角の有り難い制度ですから使わせて頂く事にします」と小選挙区で日本民主保守党公認候補と当落を争う選挙区のライバル候補者達が、最初は使わないと言っていた重複立候補制を使うと言い出して…