このように、志が生きて行くためのエネルギーとなる。人生において志が最も重要なものの一つであり、心で思ったとおりのものに人生はなっていく。それゆえ、まず自分自身の内部に志という中心を確立し、内部から外部をコントロールすることが大切である。

すなわち、このような確固とした志を持つ人は、自己を取り巻く環境の支配を受けず、それゆえ環境の奴隷(※注5にならずに、自己が環境の主人公となって、自己の人生をコントロールすること(※注6ができる。この志や夢があるか否かは、ちょうど「羅針盤(らしんばん)を装備している船」か否かにたとえられる。

(※注5志や夢を達成するためには、生きる環境が厳しい程、自らの志を達成する炎をより強く燃やさなければならない。

(※注6自己の運命の自己統制ができること。

すなわち、もしこれがない場合には、人生の荒波にもまれ、ただ漂流する船のようなものであるけれども、この羅針盤があれば、どのような嵐が来ようとも、しっかり目的地にたどり着くことができるのである。言いかえれば、例えば、インドのマハトマ・ガンジーのように、成功した人達は、高い志や夢を描き、信念を持って、それを実現させた人達である。どのような志を立て、それを信念として固く持ち続けることができるか否かによって、その人の人生が大きく変わってくる(※注7

(※注7 例えば、松下政経塾では、明確な「志の確立」を最重要項目の一つとして重視している(松下幸之助[1995]『君に志はあるか―松下政経塾 塾長問答集』PHP文庫)。

このように、人生を生きる上で「現在」、「此処」、「自分」、「一回性」、「志」という五つの重要事実をはっきりと自覚して、確固たる志や夢を描いて、それを実現するために努力し、幸せな人生を送りたいものである。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『幸せになれる「心の法則」』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。