第2章 人生における五つの重要事実と心の法則

1 人生における五つの重要事実

(2) 人生における五つの重要事実

④一回性

誰でも十二分に知っているように、人生において最重要で、かつ人生の最大の前提ともなる事実は、「人生は、一度限りであり、二度と繰り返せない」(「一回性」ないし「一度:only once」)(※注1という事実である。

(※注1例えば、森信三の「人生二度なし」(森信三[2007]『修身教授録一日一言』致知出版社)などの考え方を参照されたい。

この事実に基づき、反対に「一生の終わりを出発点として、そこから生きていることの貴重性を一段高い視点から見つめ直し、未来の視点から一回限りの人生において本当に何が大切なのか、ないし何をしたいのか(しなければならないのか)を考える」ことが大切である。この尊い人生を、幸せで生き甲斐(がい)あるものとしないと本当にもったいない。

⑤志・夢

この人生の一回性を本当に正しく自覚している人は、図のように、一般に「人生観」、「死生観(しせいかん)」ないし「死生の哲学(※注2」と、それに基づく歴史の一部となるような「志」(ambition)や夢が確立し、この尊い人生を真剣に螺旋的(らせんてき)に進化向上しながら生きていける人である。

(※注2生まれたものは必ず亡くなる。この事実により、人生の全体的な把握ができ、大切な命を全うするために、生きていることの重要性や貴重性及び人生とは何か、ないし何のために生きるのか、ということが本当に自覚される。そして、自分がどのように自分の人生を送りたいのかないし送るべきかについての夢や志が明確に自覚でき、それに向かって信念を持って努力し、生き甲斐のある人生を送ることができる。

ここに志や夢の特徴として、一般に㋐少しレベルの高い普遍的な夢や目標(※注3であること、㋑自我を超越し、世のため人のためという社会性や大義名分があること、及び㋒その実現のために、確固とした「信念」・「覚悟」を伴っていることが挙げられる。

(※注3自己の利害を超えた人類共通の目的のこと、例えば、社会の平和、幸福や繁栄のためなど。

[図]人生の一回性と死生観に基づく志

この正しい死生観に基づく志や夢の確立は、自己の進化向上によって幸せになるために、長い人生において最も重要で、かつ最も大きな影響を及ぼすものの一つである。そして、その人の運命は、この志や夢を確立し、人生の焦点を志に合わせ、信念とワクワク感を持って一心不乱にそれを実行できるか否か(※注4によって決まる、といっても過言ではない。

(※注4初志貫徹ができるか否かということ。