俳句・短歌 短歌 自由律 2020.09.19 句集「愛のままで咲く」より三句 愛のままで咲く 【第8回】 馬場 美那子 “こぼれる愛 からめた指の すき間から” 十七音に込められた、愛と感謝の川柳句集 母へ、恋しい君へ、愛犬へ、かけがえのない日常へ。やさしく、時に激しい愛の詩。 5章からなる川柳句集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 母の背を眺める時の小さい幸 懸命にインコに話す母の背 ブチブチと粒マスタード母の愚痴
エッセイ 『59才 失くした物と得た物』 【新連載】 有村 月 結婚してから35年、「愛」はなくとも「情」は生まれる ダンナが死んだ―まさかの現実。自覚はなかったが、この時から私の「おひとりさま」は始まろうとしていたようだ。たしかにダンナは肝臓の数値が悪いと1ヵ月半入院したものの退院、体力も少しずつ戻りはじめ還暦祝の1泊旅行もし、そのたった1週間後にはこの世からいなくなるなんて、頭の中のすみっこにさえなかった事。よくいう野球の九回裏2アウトからの逆転満塁ホームラン的な。その1年半前、最愛の母が「くも膜下出血」で…
小説 『波』 【第5回】 内木 宏延 竜骨をも削れる切れ味の良い僕のナイフを持ったまま彼は彼女を追いかけた 「片足をこのレンガにかけて塀の向こうを見てごらん。あれがエルヴドンだ。ご婦人がひとり、長窓と長窓の間に腰掛けて書き物をしているよ。庭師たちが大きな箒(ほうき)で庭を掃いているぞ。ここに来たのは僕たちが初めてさ。僕たちは未知の国の発見者なんだ。動いちゃだめ。庭師に見つかったら打たれちゃうよ。イタチみたいに馬小屋の扉に釘付けにされちゃうぞ。ほら! 動いちゃだめ。塀のてっぺんのシダをしっかりとつかむん…