第1章 「発達」と「障害」

障害の考え方

障害についてどのように考えたらよいのか、現在なお試行錯誤があると思いますが、これまでどのように考えられてきたのかふれたいと思います。

まず、公的に出されているものに世界保健機構(WHO)の分類があります。

1980年に出された「国際疾病分類(ICD※)」(もともとは1900年に死因の統計のために作られたものです。疾病分類としてコードがあるので、日本の医療でも使われており、保険診療請求の時はこのコードを使用しなければなりません。)で、ICDの補助として「国際障害分類(ICIDH※)」が発表されました。

ここでは、疾病や何らかの不調(disease, disorder)があり、それによって受傷、損傷(impairment)があり、それが障害(disability)に至り、そして社会と関わる時の社会的不利(handicap)があるという構造です。

これが出された時は新鮮で、障害はこのように分類して考えると全体像が見えるのか、そして障害の中に社会的不利を入れるという社会的責任を認め、社会福祉的に障害を理解していくのだなと思いました。

そしてその21年後、WHOは2001年に「ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)」を採択しました。そのまま言うと機能することと障害と健康の国際的な分類ですが、日本では「国際生活機能分類」となっています。